女給さん、ウエイトレスさん

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今年も咲いてくれました花カイドウ桜です。

ブログを始めるに当たって文章力を高めるために、文学関係の書籍のページを捲っていると、若き日の男女の二ショット写真が目に留まり一見するなりくぎずけになりました。その若き男女とは日本人初のノーベル文学賞を受賞された川端康成氏と婚約者の

伊藤初代さんさんです。川端康成氏は学生服に角帽姿で伊藤初代さんは地味目の和服姿で写っていました。この写真に魅せられたのは伊藤初代さんの愁いに満ちた表情、可憐で清楚な、とても魅力的なところでした。二人が恋愛中の頃の事を書いた自伝的小説

「篝火」の草稿が、原稿用紙六枚分が発見され、四月に開催される川端康成特別展に初公開されるという記事が先月の新聞に掲載されていました。この記事を読んですぐに二人の写真の事が脳裏に浮かんで来ました。川端康成氏が東大生で、学生寮の近くのカフェで女給さんとして働いていた伊藤初代さんを目当てに通い詰め親しくなり、恋愛関係に発展、婚約までされるのですが、婚約後僅か一か月で婚約解消になります。何故二人は破局したのかの詳細は分かりませんが、恋愛中の心の葛藤などが書かれた作品

「篝火」を読めばヒントがあるかも知れません。この後有名な作品伊豆の踊子が書かれるのですが、元婚約者伊藤初代さんとの恋愛中の出来事などが、作品に大きな影響を与えたのではないでしょうか。私も大学生時代に喫茶店のウエイトレスさんと付き合っていましたが、結婚するとかしないとかと、いった関係ではなかったのですが、川端康成氏の場合と似ているのは、共に大学生で彼女がカフェの女給さん、喫茶店のウエイトレスさんだったことです。大正時代は喫茶店をカフェと言われ、そこで働く人を女給さんと呼んでいたようで、昭和の戦後は喫茶店で働く人をウエイトレスさんと呼んでいました。現在では女給さんは勿論、ウエイトレスさんも使われなくなり、便利な言葉であるスタッフが使われるのが一般的なようです。私と川端康成氏との恋愛関係における学生、彼女の職業と言った表面的な事は同じようですが、内実は精神性の高い次元の違う全く異質なものです。川端康成氏は文学的芸術性を追及された真面目なものです。私は不真面目ではなかったと思いますが、文学的芸術性はなく、その事が別れる原因を早めさせたと言えばかっこの良い言い方になりますが、実はお互いに若くて未熟だった事が真実のようです。最近では彼女と知り合った喫茶店のあるところには、殆んど行くことも無くなりましたが、たまにその店の前を通ると現在は喫茶店は無くなり別の店舗になっておりますが、五十数年前の出来事を昨日の事のように思い出します。この喫茶店での出来事は自分が歩んできた人生の遠い日の1ページである事は紛れもない事実です。