円安から円高に

卓上のツツジビオラ、パンジー、マーガレット

外国為替市場において、円相場が32年ぶりに1ドル150円に下落しました。コロナウイルス規制解除、32年ぶりの円安によるインバウンド旅行者の増加により、全国の観光地は大変な賑わいを見せているようです。連日全国の隅々まで、インバウンド旅行者が訪れ、その光景がテレビに映し出されるのですが、殆んどの旅行者が、日本の風光明媚な自然の美しさに、大変満足、感動されているようです。一方都心部の旅行者は、円安でお買い得になった、お土産物を沢山買っておられる光景が、特に印象深いのですが、これらの旅行者は円安による恩恵を十二分に享受されているようです。今年はこのまま1ドル150円の円安が続けば、コロナ前の2019年に記録した、インバウンド旅行者数3200万人を越えることは、間違いないでしょう。先進国中の物価は日本が最も割安で、日本の歴史、文化、芸術、四季の美しさ、日本食とどれもが世界の一級品ばかりで、それらを安価で購入出来、世界中の人を魅了し続けています。

インバウンド旅行者が増えることは喜ばしい事ではありますが、この結果が低迷する日本経済の起爆剤になることは考えられません。経済規模を表す指標は名目GDPで、2023年度の日本の名目GDPは約600兆円位です。それに対してインバウンド旅行者による国内消費額は約7兆円位ですので、名目GDPのわずか1.2 %位にすぎません。

円安ということは日本の商品が安くなり、外国の商品が高くなることで、言い換えると日本の経済力が弱くなり、外国の経済力が強くなっていることです。この状態を是正するには、日本の経済成長を強力に促すことです。経済成長を高めるには、30数年伸び悩んでいる、勤労者の大幅な賃金のアップが絶対に必要です。経済成長の指標である名目GDPの60%が個人消費で、賃金が大幅に上がれば、その多くが消費に回ることは間違いありません。名目GDPが増えれば、日本政府が抱える巨額の債務の償却にも目途が立ちます。そうなれば日本の国際的な評価も高まり、今の円安も是正され円高に向かうでしょう。現在のように、インバウンド旅行者を喜ばすだけでなく、逆に日本人がアウトバウンドして、有利な外国旅行が出来るように、日本経済を成長させなければなりません。今の日本が抱えている、国家の根幹の最も重要な問題の全てが、経済成長が止まったことが原因になっていることも事実です。GDPが大きくなることだけが、人間を幸福にすることは出来ないという人もいますが、経済成長(GDPの伸びのこと)がない限り、人間を絶対に幸福にすることは出来ません。経済成長率を高めることが出来れば、今の円安基調から円高基調に替わり、それに伴って景気も良くなれば、個人は賃金が上昇し所得も増え、政府は税収が増える、明るい夢と希望のある、未来がくるものと確信しています。