所得倍増計画と資産所得倍増計画

日日草のピンクです。

所得倍増計画、資産所得倍増計画という言葉をメディアから最近よく耳にします。良く似た言葉ですが全く違います。所得倍増計画は今から六十数年前、当時の内閣総理大臣、池田首相の肝いりで、欧米並の生活水準に近づけることを目標にした、経済成長政策を行った事によって、政府予想を上回る年率10%以上の経済成長が続きGDPも10年で2倍になり勤労者の所得(給料)も2倍になりました。これが所得倍増計画の真相です。それでは資産所得倍増計画所得倍増計画はどう違うのでしょうか。現在国民が保有している金融資産は2000兆円を超えており、その内訳は現金、預貯金が54%の1080兆円、リスク資産と言われる株式、投資信託は合わせて13%の260兆円、保険、年金が28%の560兆円、その他が5%の10兆円です。この関係を米国と比べると、米国の現金、預貯金13.7%、株式、投資信託44.8%、保険、年金32.5%で現金、預貯金は日本の三分の一位、株式、投資信託は3倍弱で保険、年金は同じ位です。日本と米国は現金、預貯金とリスク資産の株式と投資信託の比率が大きく違うことが分かります。資産所得倍増計画は金融資産の半分以上を占めている現金、預貯金を株式、投資信託にシフトさせる、いわゆる貯蓄から投資を行う事で、株式市場を活性化させ、長期間停滞している日本経済を飛躍させ、企業は売り上げが増加し収益も増えれば投資家は配当金、分配金を多く受け取る事が出来ます。資産所得倍増計画は日本の株式、投資信託に投資される金額は全金融資産の13%です。これを2倍の26%にする事により、配当所得、分配所得も2倍になり、理論上は資産所得倍増計画は達成できる事になります。所得倍増計画は勤労者全ての人に所得(給料)が2倍になる平等性がありましたが、資産所得倍増計画は貧富の格差を増大させることにも繋がりかねず、国民全体に不平等感が生まれてくるのではないかと危惧されます。岸田首相が提唱しようと考えている資産所得倍増計画は国民全員に等しく恩恵を受けれるようなものにしなければならない事は言うまでもありません。資本主義社会の基礎は株式会社が担っており、企業社会の発展無しに国家の繁栄はありません。そういう意味からも貯蓄から投資への転換は理にかなっていると思います。日本の将来不安(年金、医療、介護)問題を無くせば滞留しているお金が投資にも回り、その事が経済の好循環を生み日本が抱える財政上の諸問題の解決に貢献出来る事も期待出来ます。