母親

バーベナのピンクです。

新聞は毎日数時間ほぼ全ページ目を通しています。その中で特に政治、経済、文化のコラム、エッセイ関係の記事は隈なく、暇に任せて読んでいます。コラム記事の中に一か月間連載で「私の履歴書」というのがあります。これは色々な分野で成功を収められた人が自分の生い立ちから現在までの出来事を、詳細に書かれたものです。このコラム記事を十五年近く読んでいるのですが、執筆者は決して平凡な人生でなく山あり谷ありで、執筆者全員に共通しているのは何度も経験される艱難辛苦を、その都度不屈の精神力で乗り越えられてきたことです。全てが興味津々の内容で、私には到底出来ない事ばかりです。今月このコラムの執筆を担当されているのは一部上場企業(四月からプレミアム市場に改訂されています。)の元社長で現在は最高顧問をされています。このコラムの中でお母さんについて書かれた件(くだり)は沢山あるのですが、その中で一つの文章をそのまま抜粋します。「僕は母からいろんなものをもらったが、社長になってからもお金をもらった。同居して母の面倒をみていた妹の家に妻や娘を連れて遊びに行くたびに、妻や娘のいない部屋に連れていって悪いことはしてはいけないよとこっそり一万円くれた。」このように書かれていました。これを読んで驚いたのは、元社長のお母さんがされたことと同じことを、母が私にしてくれたのです。金額も、二人になった時に渡してくれたのも全く同じでした。ただ違うところはお金を渡すときに私には、お前も生活大変やろからな、と言ったことです。常識的には息子から年老いた母親に小遣いを渡せるのが理想だと思いますが、大学生の息子と娘がいたのと、私の収入も少なく生活も大変だったので、小遣いもあげられず随分辛い思いをしていました。元社長は私の場合と違ってお母さんに小遣いを渡すことは充分出来たと思いますが、それをされず逆にお母さんからもらっておられた。これは元社長のお母さんに対する優しさではないかと思います。私の場合は申し訳ない気持ちでありがたく受け取っていましたが、同じようにお金を受け取るのですが、元社長と私では感謝の気持ちの意味合いが随分違うと思います。私の母が元社長のお母さんと同じような事をしてくれて嬉しく思っています。元社長のコラム記事を読んで改めて、母には生前私に良くしてもらった沢山の事を思い出さてくれました。元社長のお母さんは102歳の長寿で私の母は97歳で亡くなり長い生きだったと思います。