インフレと金融政策

バーベナの赤紫色です。

世界的な気候変動が原因と考えられる小麦の収穫量の減少による価格上昇とロシアのウクライナ侵攻による資源(原油天然ガス、石炭)価格が上昇しています。加えて為替相場が大幅に円安に振れています。小麦、エネルギー資源は輸入に頼る日本にとっては大幅な物価上昇(インフレ)になりそうです。既に欧米では大幅なインフレになっ

ており、金利を引き上げインフレ抑止政策に舵を切っています。日本も小麦、エネルギー資源価格の上昇と円安で2%のインフレ目標は達成できますが、更に物価上昇が進んだ場合はマイナス金利政策を撤廃して金利を引き上げ、金融緩和政策から金融引き締めに転換できるかどうかです。日銀総裁はまだ現状の金融緩和政策を変更せず継続すると発言されています。この理由は日本のGDPの2倍以上ある政府債務の多さが考えられます。この債務は国債で調達されており、年1回の元本償還と年2回の利払いが発生しますが、この利払い分が日銀の低金利政策の恩恵を受け大幅に軽減されています。これが低金利政策を続けなければならない理由の一つになっているようです。しかしこの低金利政策の副作用が円安となって表れて来ました。お金の流れは水の流れとは逆でお金は金利の低い方から高い方へと移動します。米国は金利を引き上げていますので日米の金利差は大きくなっており、円を売ってドルを買いドルで運用すれば利ザヤを稼ぐことが出来ます。これが円安になっている理由の一つと考えられます。日銀の金融政策で円安から円高に誘導しようとすれば大幅に金利を引き上げることですが、現在の日本の景気の実態、財政状態からは金利を上げたくても、上げられないのが日本の実情です。日本経済はバブル崩壊後30年間、低成長、低インフレ、低賃金を続けており今回のインフレは小麦、天然資源(原油天然ガス、石炭)価格の上昇があらゆる商品に波及して値上がりする典型的なコストプッシュ型のインフレで、このインフレという禍を転じて福と為す政策を行なえば、30年間続いて低迷している経済を甦らす事が出来るのではないかと思います。商品、サービスの値上げは確実に実施し大企業社員、中小零細企業社員、非正規労働者、全ての労働者の賃金を物価にスライドさせ上げることです。そうする事によって消費の落ち込みを防ぐことが出来、需要の喚起にも繋がります。物価だけが上がって賃金据え置きを行なえば、今以上に消費は落ち込み景気浮揚はならず不況になります。この状態をスタグフレーション(不況下のインフレ)といい最悪の経済情勢の事です。賃金を引き上げる事によって消費を促し、消費が増える事によって企業の売り上げも増え、企業の利益も増える経済の好循環が達成されることになります。このことは日本の財政にとっても明るい材料になり物価上昇した分、政府債務も目減りし、企業の業績も良くなれば国の歳入源になる法人税所得税も増え財政の健全化にも繋がります。これは真にインフレという禍から福を生んでくれる事になり、低迷し続ける日本経済の起爆剤になることが期待されます。