危険を孕む中国政治

ベゴニア ビッグ レッド



 

今の中国の政治状況は表面的には落ち着いているかのように見えるがその実は経済の停滞により、国民の間に苛立ちが充満している。コロナ禍による日本に対する団体旅行の規制が8月に解除されたが、中国人旅行客はコロナ禍前の2019年の実績に遠く及ばない。この原因は福島の原子力発電所の冷却処理水の海洋投棄に中国政府は日本に対して強く抗議しており、それに便乗した国民が反日的になったというよりは、むしろ中国経済の不振により、若者の失業率は20%を超え、不動産バブル破綻は30年前の日本の状況に酷似している。こういった不況感が国民の間に浸透し、お金のかかる外国旅行より国内旅行を選択している理由ではないだろうか。中国政治の基本は中国共産党が政治、経済、国民をコントロールする共産主義的資本主義である。この中国独自の国家運営システムに軋みが生じているように感じられてなりません。その根拠としては最近立て続けに主要閣僚の外務大臣防衛大臣が失脚、更迭され、民間では中国最大の不動産グループ恒大集団の会長が不正を行い身柄を拘束される事件が報道されています。国民を疑心暗鬼にする密告奨励制度が制定され、特別重大な情報提供者には200万円以上の報奨金が支払われます。対外的には中国と国境を接する周辺国が怒りを買うような国恥地図なるものを作成し世界に公表しています。国恥地図とは中国と国境線が未確定な国に対して一方的に中国領土にした地図で当然国境を接する国は猛反発しています。日本の関係では日本の固有領土である尖閣諸島は中国名の釣魚島と書かれています。日本も当然中国政府に対して抗議しています。2014年頃から南シナ海南沙諸島岩礁地帯に領有権を主張しているフィリピン、ベトナムを無視して人工島を建設しており、現在戦闘機が離着陸出来る滑走路まで出来ている。更にこの地域を埋め立て人工島を建設すれば周辺国の反発が予想される。一方東シナ海では日本固有の領土である尖閣諸島に中国公船、中国漁船が領海侵犯を繰り返しており日本の海上保安庁の巡視船と一触即発の状態です。そして中国政府最大の懸案事項である、悲願の台湾統一問題の解決が浮上しています。習近平氏は台湾統一問題は常に中国国内問題である事を強調しており、他国が介入する事に釘を刺している。習近平氏は平和的、軍事的の両面で統一の可能性を探っており、軍事によらない平和的な統一は歓迎されるが、侵攻による統一を選択をすれば、現在行われている、ロシアのウクライナ侵攻と同じ構図になります。もし中国が台湾に侵攻すればこれはロシアのウクライナ侵攻とは比べようが無い位世界経済に大きな影響をあたえるでしょう。台湾の半導体メーカーTSMC半導体シェアは世界一で68%占め、時価総額は日本一のトヨタ自動車の2倍の62兆円の超巨大企業です。中国が台湾に侵攻しTSMCの工場が操業停止になれば、半導体不足が生じて世界の工場の生産活動が大混乱になる可能性が危惧されます。侵攻によるメリットは全く何もなく無益でロシアのウクライナ侵攻を見れば分かるとうり莫大な負の遺産が残るだけです。中国は何千年の歴史があるのだろうが、領土膨張主義の野心を捨てて話合いで平和的な解決が実現されれば、中国に対する世界の評価、見方も変わり尊敬される偉大な国家になるだろう。中国はロシアの轍を決して踏んではいけない。政治的な話合いによる決着がつかなければ、軍事力による安易な決着への道はどうしても避けなければならない。中国は世界第二位の経済大国としての模範を示し世界で起きている紛争国に影響力を発揮し世界平和に貢献してもらいたい。